KEYNOTE045 がん専門への道 勉強の書き散らし
*医療関係者のみ閲覧お願いいたします。あくまで私的な勉強のための記事です。
プラチナケモ後の再発・進行後尿路上皮癌に対するペンブロリズ マブフェーズ3試験を解説
▶︎背景
①プラチナベース化学療法後に進行する尿路上皮癌は、転移率の高さや予後が悪く治療選択肢が少なかった。
②過去最善治療:単剤パクリタキセル・ドセタキセルなどが選択されていた。
✅背景まとめ
・一部PS2を含む(ただし、 2例 0.7%のみ)
・主にPS1:53%のデータ
・PD-L1複合陽性スコア 10%以上が28.5%。陰性が70%
・前治療から 2週間以上の間隔がある
・プラチナ含有ADJ/NAC/レジメン後の第二選択治療として評価
・ケモ群とペンブロリズマブ単剤の1:1割付け
▶︎患者背景
・腎骨盤・尿管・膀胱・尿道の尿路癌を対象。しかし、尿路上皮がん以外の患者は除外。
・局所筋層侵襲性に対するプラチナベースADJまたは、NAC治療後12ヶ月以内の進行群
・PS0〜1又は、2
・第一選択レジメンにプラチナ(シスプラチン・カルボプラチンなど)の治療施行後、再発進行のあった患者
▶︎除外基準(一部抜粋)「プロトコルより」
・試験開始 2週間前までに、化学療法・免疫療法の治療を受けている者
・試験開始4週間前までに、抗がんモノクローナル抗体が検出、過去投与薬での有害事象から回復していない者
・進行中または積極的な治療が必要な既知の追加治療が必要な悪性腫瘍がある者。ただし、皮膚基底細胞癌、根治の可能性がある治療を受けたメラノーマ、または上皮内子宮癌・子宮頸がんは含む。
・既知の中枢神経系の転移、癌性骨髄膜炎のあるもの。ただし、試験開始前の4週間に中枢神経系の進行がイメージング検査により進行がなく安定の患者は含む。
・その他:心筋炎の既往歴のあるもの(NYHA3以上)自己免疫疾患の治療中など安全性に懸念がある者など
▶︎結果
フォローアップ中央期間:14.1ヶ月(9.9〜22.1ヶ月)
ペンブロリズマブ群:266人(74人=PD-L1陽性10%以上)
ケモ群:255人(90人=PD-L1陽性10%以上)
・ドセタキセル群:84人
・パクリタキセル群:84人
・ビフルニン群:87人
▶︎OS HR=0.73(p=0.002)
ペンブロリズマブOS中央値:10.3ヶ月(12ヶ月推定OS=43.9%)
ケモ群OS中央値:7.4ヶ月(12ヶ月推定OS=30.7%)
▶︎PFS HR=0.98(p=0.42)
▶︎CPS10%以上レスポンス
ペンブロリズマブ群OS中央値:8.0ヶ月
ケモ群OS中央値:5. 2ヶ月
✅フォレストプロットからの有効例の検討
・CPS10%以上(以下では優位傾向・複合スコアでは1を跨ぐ)
・喫煙歴のある患者
・アッパー・下部拘らず有効?
・第二選択として1stラインでは有効
・3ヶ月以上からの治療で有意差あり
・ドセタキセル・パクリタキセルより優位傾向(信頼区間1を跨ぐ)
<検討事項>
・転移部位:リンパ節のみでは、検出力不足
・PS2:検出力不足
・リスクファクター:関係なく有効か?
・ADJ/NAC施行:検出力不足
▶︎安全性
ペンブロリズマブ群:60.9%
→治験関連死:肺炎(1例)尿路閉塞(1例)癌進行(1例)など
5%以上のグレード3〜5:なし
ケモ群:90. 2%
→治験関連死:敗血症(2例)敗血症ショック(1例)など
5%以上のグレード3〜5:好中球減少症(13.3%)好中球減少(12. 2%)貧血(7.8%)熱性好中球減少症(7.1%)白血球減少(5.1%)など
✅議論
・全集団に加え、複合スコア10%以上でも既存治療よりも優位
・層別解析よりPDーL1発現に拘らず有効に見られる
・喫煙状態との相関が見られた
・PFSにはケモとの間に有意差はなかったが、6ヶ月を超え進行がなければテールプラトーがみられた
今後の可能性として、PD-L1に拘らず、プラチナ治療を第一選択としつつ第二選択の初めての免疫療法となりうる。効果としては、既存治療から約3ヶ月の生存期間の延長。患者の喫煙歴により延長の可能性はあり、また今後のフォローアップにより更なる延長も期待できる。